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高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について
年齢が75歳に到達すると、それまでの国民健康保険制度や社会保険制度等から後期高齢者医療制度へ移行します。その際、継続的な支援、接続ができないことが課題でした。また、要介護になりやすい75歳以上の高齢者(後期高齢者)への介護予防事業は、保健事業(健康診査)とは別々に行われてきた現状があります。
このため、令和2年度に「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が施行され、国により、市町村が高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するための体制が整えられました。
目的
高齢者の健康寿命を延ばし、長く元気にすごせるようサポートする事業です。高齢者が抱える様々な健康課題に対応するために、疾病予防、生活習慣病の重症化予防、フレイル予防等を横断的に支援します。高齢者の健康増進・健康維持を図り、皆様が住み慣れた地域で、より長い期間、自立した生活と社会参加ができるようサポートし、健康寿命の延伸を目指します。
当市の取り組み
志木市では、令和2年度から埼玉県後期高齢者医療広域連合より受託し、健康政策課、長寿応援課、保険年金課の3課が連携し、地域の関係機関などと協力して、保健事業と介護予防の一体的な実施に取り組んでいます。
具体的には、健診・医療・介護に関するデータから地域の課題を分析するとともに、高齢者のフレイルなどの健康状態、生活状況などを包括的に把握するため、保健師、管理栄養士、薬剤師及びケアマネジャーによる個別相談や訪問などによる支援を行っています。
フレイルとは
フレイルとは、「加齢によって心身の活力が低下した状態」のことで、「健康状態」と「要介護状態」の間にある「虚弱状態」を指します。
フレイルを放置すると、要支援・要介護状態になる可能性が高くなりますが、フレイルの兆候を早く発見して、運動や食事などの日常生活を見直し、正しい対処をすれば、フレイルの進行を抑制したり、健康な状態に戻したりすることができます。
実施内容
高齢者の保健事業と介護予防等の一体的実施事業では、健診・医療・介護のデータを分析して市の健康課題を把握するとともに、市民が集う健康教室などの活動の場で、健康教育や健康相談などを行う「ポピュレーションアプローチ」と、健診結果や医療機関の受診状況から対象者を抽出し、保健指導や保健相談等の個別支援を行う「ハイリスクアプローチ」を実施しています。
通いの場などにおける保健事業(ポピュレーションアプローチ)
通いの場において、口腔、栄養、身体機能等に関する講座や相談会を実施し、フレイル予防に向けた普及啓発を行います。また、健康状態等の把握のため、フレイルチェックも行います。
《フレイル予防講話》
管理栄養士や歯科衛生士がいろは百歳体操やサロンの場に出向きフレイル予防のための生活の工夫をお話します。
《フレイルチェック・フォローアップ教室》
簡単な質問票で、自身のフレイルの状態を確認します。フレイルチェック後のフォローアップ教室では、専門職が今後の生活についてお話します。
フレイルの状態を確認してみませんか?
フレイルチェックをしてみよう
フレイル予防に大切な「栄養」「口の機能」「運動」「社会とのつながりやこころ」の側面から自己チェックできる簡単な質問シートです。チェックすることで、気を付けなければいけない項目を知ることができます。
栄養 | 1 | ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気をつけた食事を心がけていますか |
○はい |
□いいえ |
---|---|---|---|---|
栄養 | 2 | 野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか | ○はい | □いいえ |
お口 | 3 | 「さきいか」、「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛みきれますか | ○はい | □いいえ |
お口 | 4 | お茶や汁物でむせることがありますか | ○いいえ | □はい |
運動 | 5 | 1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか | ○はい | □いいえ |
運動 | 6 | 日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか | ○はい | □いいえ |
社会性・こころ |
7 | ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか | ○はい | □いいえ |
社会性・こころ | 8 | 昨年と比べて外出の回数が減っていますか | ○いいえ | □はい |
社会性・こころ | 9 | 1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか | ○はい | □いいえ |
社会性・こころ | 10 | 自分が活気に溢れていると思いますか | ○はい | □いいえ |
社会性・こころ | 11 | 何よりもまず、物忘れが気になりますか | ○いいえ | □はい |
出典:東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」から引用
質問票は、総合的な健康状態を把握するものです。
□に該当する答えが多い方は、フレイルに注意が必要な可能性があります。とくに5個以上□に該当した方はフレイルの危険性が高くなります。
健康で元気に過ごすためには、運動、栄養、お口の健康、社会参加が大切です。難しく考えずに、自分に合った方法を生活の中に取り入れてみましょう。
高齢者に対する個別的支援(ハイリスクアプローチ)
後期高齢者健康診査の結果や医療機関の受診状況等から、個別支援の対象となる人には市より通知を送付します。
対象となる人
後期高齢者医療制度加入者で、以下のいずれかに該当する人に個別支援を実施します。
- 低栄養のおそれがある
- 口腔機能低下のおそれがある
- 身体的フレイルのおそれがある
- 生活習慣病重症化予防に係る指導を必要とする
- 服薬や受診に係る指導などを必要とする
- 健診・医療ともに未受診であり、健康状態が不明である
低栄養、口腔機能低下、身体的フレイルのおそれがある人
現在の健康状態を把握するため「健康に関する質問票」を送付します。該当する項目にチェック☑をして市役所へ返送してください。
後日、各種事業のご案内を送付しますので積極的にご参加ください。
市の保健師や管理栄養士がお電話や訪問をすることがあります。
生活習慣病重症化予防に関わる支援が必要と思われる人
医療機関の受診勧奨のご案内を送付します。医療機関を受診したかどうか、「受診状況についての確認表」を記入し市役所へ返送してください。
まだ受診されていない方はできるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
市の保健師や管理栄養士がお電話や訪問をすることがあります。
服薬や受診に関する支援が必要と思われる人
現在の服薬や医療機関の受診状況がわかる「服薬に関するお知らせ」を送付します。
かかりつけの薬局や医療機関に「服薬に関するお知らせ」を持って服薬や受診について相談してみましょう。
後日、市が委託する薬剤師がお電話や訪問をします。
健康状態が把握できない人(医療機関を受診していない、健診を受けていない人)
高齢者あんしん相談センターの職員がご自宅に訪問します。
この機会に現在の生活状況や健康状態を相談してみましょう。年に1回、健康診査を受診して健康状態を確認しましょう。
後期高齢者健康診査、健康長寿歯科健診を受診しましょう
フレイルに至る原因は様々ですが、大きな要因のひとつが生活習慣病です。例えば、高血圧等により血管が傷つき重症化すると、脳や心臓、腎臓が障害を受けて認知機能が低下したり、積極的に動くことが減ったりします。血管を傷めているリスクがないか確認するためにも健診を受け、結果に応じて治療を受けたり生活習慣の見直しを図りましょう。また、お口の健康は全身の健康につながります。疾病予防や健康増進のためにも、ぜひ歯科健診も受診しましょう。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業でも、健診の受診結果の分析により重症化リスクの高い方を抽出し、保健指導や栄養指導に活用しています。
1年に1回の健診でご自身の健康状態を把握しましょう。
- 後期高齢者医療健康診査・人間ドック
- 歯科検診(健康長寿歯科検診)<外部リンク>
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