本文
オーラルフレイル予防
オーラルフレイルとは
「老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予備能力低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程」のことです。 口腔に関連した“ささいな衰え”に気づき、機能の低下を予防することが大切です。 口の健康は、全身の健康につながります。毎日の生活でオーラルフレイルを予防しましょう!
オーラルフレイルになると
オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べ2年後に身体的フレイルとなる確率が2.4倍、4年以内に死亡するリスクが2倍になるという調査が出ています。
病気のリスク | リスクの高さ |
---|---|
身体的フレイル | 2.4倍 |
サルコペニア | 2.1倍 |
要介護認定 | 2.4倍 |
総死亡リスク |
2.1倍 |
また、オーラルフレイルになると飲み込む力が衰え、食べ物が口内に残ってしまうことにより、誤嚥性肺炎となるリスクが高まります。
加えて、噛むこと、飲み込むことが難しくなることで、食べる量が減り、低栄養へとつながる可能性もあります。
オーラルフレイルチェック
自分がオーラルフレイルの状態かどうかは、下記の質問から推定することができます。
出典:埼玉県歯科医師会
口腔機能低下症
オーラルフレイルが進行すると、口腔機能低下症という疾患になる可能性があります。
口腔機能低下症とは、加齢だけでなく、疾患や障害など様々な原因によって、口腔の機能が複合的に低下している疾患のことです。
口腔機能低下症は、オーラルフレイル同様、全身的な健康を害する原因となります。
なかなか自分では気づきにくく、知らない間に進行していってしまうため、少しでもお口のことで気になることがあれば歯科医師に相談しましょう。
参考:「口腔機能低下症」って知っていますか?(神奈川県歯科医師会ホームページ)<外部リンク>
低栄養を予防するには
オーラルフレイルを放置すると、低栄養になる可能性があります。
加齢により筋肉量が減少し、基礎代謝量が低くなり、必要なエネルギー量は減少しますが、骨格筋量と筋力の維持のために、たんぱく質を十分に摂取する必要があります。一日三食すべての食事にたんぱく質を摂取することをこころがけましょう。
また、多種多様な食品からバランスよく栄養素を摂取することで低栄養を防ぐことができます。
参考:高齢者の低栄養(公益財団法人長寿科学振興財団ホームページ)<外部リンク>
オーラルフレイルを予防するには
オーラルフレイルは、お口の体操を継続することで予防や口腔機能の向上が期待できます。
下記サイトなどを参考にお口の体操をしましょう。
オーラルフレイル対策の口腔体操(日本歯科医師会ホームページ)<外部リンク>
お口の体操 むすんでひらいて [PDFファイル/384KB]
志木市の取組
志木市では、オーラルフレイルの予防・改善を図るため、さまざまな取組を実施しています。
舌圧測定
いろは健康ポイント事業で実施している計測会において、令和6年度から新たに75歳以上を対象とした舌圧(ぜつあつ)測定を開始しました。
舌圧は嚥下(えんげ)機能に関係しています。舌圧が低いと食べ物を飲み込みづらくなり、誤嚥性肺炎につながります。
朝霞地区歯科医師会にご協力いただき、令和6年6月に実施した舌圧測定では、260名の測定を行い、標準値である30キロパスカルを下回った人は142名で、約55%もの人が標準値に満たないという結果でした。
舌圧が標準値に満たないと、前述のとおり、さまざまなリスクを誘発する可能性があるため、標準値未満の方を対象とした口腔機能フォローアップ講演会を実施し、オーラルフレイルの正しい知識とお家でできる口腔機能のトレーニング方法の紹介など、オーラルフレイルの予防・対策につなげています。
口腔機能フォローアップ講演会
口腔機能フォローアップ講演会は、舌圧が標準値未満の方を対象に、舌圧を鍛えるトレーニングの紹介、オーラルフレイルに関連する食・栄養の講話、歯科医師によるオーラルフレイルの講演を実施し、オーラルフレイルの改善を図るものです。
令和6年11月に実施した口腔機能フォローアップ講演会では、45名が参加しました。
参加者には事前に、舌のトレーニングを日々実践していただくようお伝えし、講演会当日に再度舌圧を測定したところ、講演会前の参加者の平均値が22.4キロパスカルであったのに対し、講演会当日は平均25キロパスカルと約2.5キロパスカルの上昇が見られました。
また、15名が標準値以上へ改善しました。
さらなる改善を図るため、引き続き講演会を実施していきます。
対象の方には通知をお送りしていますので、届きましたらぜひご参加ください。
歯周病リスク検査
歯周病は、炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり、悪化させる原因となります。
心筋梗塞、脳梗塞や糖尿病など重篤な疾病を重症化させないためにも、定期的な歯科受診を推奨し、口腔の健康を維持していただくことを目的に実施している事業です。
対象年齢で一定期間歯科受診がない方にご案内を送付し、簡単に無料でできる検査キットにより歯周病のリスクを数値化しています。
かかりつけ歯科医を持ちましょう
かかりつけ歯科医とは、単にむし歯や歯周病の治療をするだけではなく、定期的に検診をして、予防やメンテナンスを十分に行い、口の中のことなら何でも相談できる健康づくりのパートナーとなる歯医者さんのことです。
日頃から通っている顔なじみの歯医者さんがいれば、オーラルフレイルの症状であるお口のささいな衰えも相談しやすいでしょう。
かかりつけ歯科医を持ち、気軽に相談できる関係性を構築することで、定期的な歯科検診を通じてオーラルフレイルの予防をしましょう。