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本施政方針掲載事業の名称については、予算書等の表記と異なる場合がございますので、ご了承ください。
令和3年度施政方針全ページ印刷用[311KB pdfファイル]
確かな志木市の発展を見据え、「みんなの笑顔」、そして「持続可能な志木市の土台づくり」にさらなる一歩を踏み出すため、本市が直面する課題を絶対に先送りしないという強い信念を胸にスタートさせた、まちづくり第2ステージも、早4年が経過しようとしております。
振り返りますと、教育分野においては、志木っ子たちが未来をたくましく生き抜く力を育むため、時代に即した新たな指導体制へと発展させた「複数・少人数指導体制推進事業~スマートクラス~」を導入するなど、教育改革を進めるとともに、市民生活においては、近年頻発する大型台風や集中豪雨に対応するため、河川監視カメラや土のうBOXの設置に加え、道路排水施設の改修など水害対策を強化してまいりました。さらには、将来を見据えた持続可能な財政運営のため、福祉センターと総合福祉センターの複合化や館保育園を民営化し、民間資源の活用や国からの財源を確保することで、確かなマネジメントを展開してまいりました。
また、全国に先駆けた取組として、本市の未来を担う志木っ子たちが、インターネットやカードゲームなどの利用に起因するトラブルに巻き込まれることを未然に防ぐため、各家庭において取り決めを行うことや、学校、地域などの責任を明確にした「元気に育つ志木っ子条例」の制定のほか、今日(こんにち)の福祉課題として増加している8050問題や、介護と育児のダブルケアなど、複数の課題が関連した事案に対応するため、これまでの後見ネットワークセンターと生活相談センターの機能に加え、障がい者基幹相談支援センターを一体的に運営する「基幹福祉相談センター」の開設など、時代の変化に対応した課題の解決にも取り組んでまいりました。
しかしながら、令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、外出や経済活動などを思うようにできない状況となり、本市も予定していた事業の一部について、中止を余儀なくされました。
こうした状況の中、本市独自の新型コロナウイルス感染症対策として、市民の皆様の生活を支えるため、水道料金の一律減額や新生児子育て応援金の給付などを実施するとともに、事業者の皆様の活動を支えるため、法人市民税均等割額の減免やキャッシュレス還元事業などを実施してまいりました。また、避難所における感染拡大を防止するため、避難者同士の間隔を確保し、飛沫感染を防ぐためのパーティションの導入や、重症化するリスクが高い方への不安を解消するため、高齢者等へのPCR検査費用の一部助成などを実施してまいりました。
現在、私たちは、歴史的にも類を見ない未曾有の災禍の中におりますが、かつての先人たちは、世界を震撼させたウイルスに、果敢に立ち向かい、克服してきました。本市においても、コロナ禍を前に、安心して暮らせる日常と、元気で活気あふれる志木市の姿を取り戻すため、これまで築き上げてきた土台を足がかりに、大胆な発想の転換のもと、志木市将来ビジョンで掲げた「市民力でつくる未来へ続くふるさと志木市」の実現に向けて、4つの戦略プロジェクトを軸に、着実な取組を進めてまいります。
まず一つ目として、本市の宝である市民力を今後も発揮していただくことができるよう、市民の皆様の健康づくりを応援してまいります。具体的には、若いうちから健康意識を高め、運動習慣を身に付けるため、20歳代から40歳代までを対象に「健康貯筋(・・)スタートプログラム」と題し、働く世代の健康づくりを民間事業者と連携を図りながら展開してまいります。その一環として、令和3年度は、いろは親水公園や館近隣公園を会場として、自然と触れ合い、リラックス効果が得られるアウトドアヨガを実施することで、体力向上やストレスの緩和など、働く世代の生活の質の改善につなげてまいります。
また、がん検診受診率の向上を図るため、自宅などで簡単に子宮頸がんのリスクを確認することができる「自己採取HPV検査」を埼玉県内で初めて実施してまいります。本市の子宮頸がん検診の受診率は、令和元年度において、11.2%と低い状況にあることからも、これまで検診を受けたことのない方が、新たに受診するきっかけとなり、継続受診につながるよう支援してまいります。
さらに、「志木市町内会サロン活動支援補助金」を創設し、地域コミュニティの担い手である町内会による町内会館を活用した「コミュニティふれあいサロン」の設立や運営を支援してまいります。これにより、同じ趣味や特技を持った方が楽しめる場や、子どもたちへの読み聞かせを行う場など、新たな集いの場の形成を支援することにより、コロナ禍によって失われた絆の再生にもつなげてまいります。
また、館地区における世代間交流のさらなる充実を図るため、ふれあい館「もくせい」のリューアルに向けた設計を実施してまいります。再整備に当たっては、マロニエ通り側からの入館を可能とする新たな動線を整備するとともに、多世代交流カフェにテラスを新設することで、子育て世代や高齢者など、老若男女が気軽に集える憩いの場としてまいります。
加えて、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、市内で最も高齢者人口の多い館・幸町圏域において、高齢者あんしん相談センターのあり方や支援体制の強化など、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を見据えた検討を進めることで、さらなる相談機能の強化につなげてまいります。
次に、二つ目として、将来的な人口減少に備え、子育て世代が定住し、安心して子どもを産み育てられる環境を充実させてまいります。具体的には、保育の量と質の充実を図るため、柏町地区に民間の認可保育園を新たに1園整備することで、保育の定員を1,821人まで拡大し、さらなる待機児童の解消につなげてまいります。加えて、当該園においては、子どもが病気のため、集団保育が困難な場合に保育士及び看護師が、施設内の専用スペースにおいて、一時的に保育する本市初の「病児保育事業」を実施することで、子育てと就労の両立を支援してまいります。
また、これまで研究を進めてきた小中一貫教育をさらに充実させるため、令和7年度に、市内全中学校区における小中一貫校の実現を目指し、市内全小学校の高学年に教科担任制を令和4年度までに導入してまいります。令和3年度は、その第一歩として、志木第二小学校に、中学校での指導経験が豊富な小中一貫教育推進教員を配置し、小学校から中学校への円滑な接続をサポートするとともに、小学校教員を同じ学区内の中学校へ派遣し、中1ギャップや生徒指導など、学校生活における課題の解消に向けた研究に取り組むことで、義務教育9か年を見通した教育課程の編成につなげてまいります。
さらに、小学校における子どもたちの英語コミュニケーション能力の向上を図るため、英語専科教員を増員することで、市内全小学校の外国語授業において、英語専科教員及びALTによる指導体制を確立してまいります。
一方、近年、児童に関する問題として、虐待や不登校が増加しており、これらは家庭環境や健康上の問題などが複雑に絡み合い、行政の特定のセクションだけでは対応が難しいことから、支援や見守りが必要な児童について、児童相談や発達障がい、不登校やいじめ、さらには悩みを抱える保護者の情報などを、関係する所属で共有することができる「児童相談システム」を導入してまいります。導入に当たっては、児童虐待の担当である子ども支援課や、母子保健の担当である健康増進センターに加え、小・中学校の担当である学校教育課や教育サポートセンターとも連携した埼玉県内の市では初となるシステムを構築し、定期的に所属を越えた情報交換を密に行うことで、発生予防や早期対応など、子どもたちや保護者の状況に応じたサポート体制を確立してまいります。
次に、三つ目として、コンパクトな市域を生かし、市民の皆様にとって暮らしやすいまちを目指してまいります。具体的には、デマンド交通やシェアサイクルをはじめとする本市の交通手段については、新型コロナウイルス感染症などの影響により、利用状況に変化が生じていることから、現在「志木市交通政策検討プロジェクト・チーム」を設置し、施策の再検証を行っているところであります。令和3年度は、プロジェクト・チームにおける検討を踏まえ、コンパクトな市域を生かした交通手段の方向性を示してまいります。
また、市民会館及び市民体育館については、現在策定を進めている「志木市民会館及び志木市民体育館再整備基本計画」に基づき、現在そして将来においてふさわしい施設の再整備に向けた設計を実施してまいります。再整備に当たっては、議会や市民の皆様からご意見を伺いながら、より多くの市民の皆様にとって、快適で使いやすく、災害時において拠点となる機能を持ち合わせた施設としてまいります。
次に、四つ目として、本市の地域資源を活用し、これまで以上のにぎわいを創出するとともに、その魅力を全国に発信してまいります。具体的には、市の中心に位置するいろは親水公園のさらなる魅力向上を図るため、令和2年度に策定した「民間活力の活用によるいろは親水公園の魅力倍増に向けた基本計画」に基づき、再整備を実施してまいります。再整備に当たっては、公募設置管理制度(Park-PFI)により、水と緑が調和した公園の新たなシンボルとなるカフェの設置や、子どもたちが目を輝かせるウォーターパークの設置など、民間事業者のノウハウを最大限活用し、新庁舎と一体となった志木市の新たなランドマークの具現化に向け、公園の魅力を高める施設整備を実施してまいります。
また、令和4年度の新庁舎の竣工や、いろは親水公園のリニューアルを市民の皆様と共に祝う記念事業を実施してまいります。令和3年度は、記念事業を市民の皆様と市職員で共に創り上げるための「新庁舎等完成記念事業実行委員会」を組織し、新型コロナウイルス感染症の影響により、中止を余儀なくされた市制施行50周年記念事業実行委員会の思いを引き継ぎながら、令和4年度の記念事業の実施に向け、準備を進めてまいります。
最後に、五つ目として、市民の皆様の生命及び健康を守るため、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を講じてまいります。具体的には、令和3年4月以降に順次開始となる新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に向けて、「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援室」を中心に、埼玉県や朝霞地区医師会など、関係機関と連携を図りながら、希望する市民の皆様に迅速かつ的確に接種できるよう、着実に準備を進めてまいります。
また、コロナ禍における地域のまちづくり活動や、社会教育活動、スポーツ活動を行う市民団体の皆様の活動継続を支援するため、消毒液や非接触型体温計の購入など、感染症予防に対する補助を実施することで、新型コロナウイルス感染症に負けない市民活動を応援してまいります。
加えて、「新しい生活様式」に対応するため、ICTを活用し、「市役所に行かなくていい」仕組みづくりを進めてまいります。具体的には、LINEを活用した電子申請やマイナンバーカードを活用した「スマート申請システム」に新たなメニューを順次追加するほか、市役所の窓口における手数料の支払い方法に「キャッシュレス決済」を導入するとともに、水道料金及び下水道使用料の支払い方法に「スマートフォン決済」を導入することで、市民の皆様のさらなる利便性の向上を図ってまいります。併せて、現在、金融機関の窓口などで納付していただいている市税等についても、「スマートフォン決済」を令和4年度の導入に向け、準備を進めてまいります。また、教育サポートセンターにおいては、いつでも相談しやすい環境を整えるため、オンライン相談を導入することで、教育相談体制を充実させてまいります。
これらの「新しい生活様式」に対応した施策を推し進めることで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止につなげることはもとより、市民の皆様の利便性を高めることで、「スマート市役所」への転換を図ってまいります。
以上、市政運営に関する基本的な考え方について、主要施策の一端を述べさせていただきました。長期化の様相を呈する新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期し、コロナ禍によって失われた絆を再生することで、元気で活気あふれる志木市の姿を取り戻すとともに、7万6千人の市民の皆様が、未来に希望を持って安心して暮らすことができるよう、数々の行政課題に取り組み、志木市の質と価値を高める市政運営に邁進してまいります。
令和3年度における国の地方財政対策によると、地方税等が大幅な減収となる中にあっても、地方公共団体が行政サービスを安定的に提供しつつ、防災・減災、国土強靭化の推進などの重要課題に取り組めるよう、一般財源総額については、前年度を上回る額の確保が示されたところであります。
その内訳を精査いたしますと、地方税がリーマン・ショックの影響を受けた平成22年度以来11年ぶりに減収へ転じた一方で、その財源不足を補塡するため、地方交付税や臨時財政対策債の大幅な増額がなされているものであります。
本市においては、これらの財源を最大限活用する一方で、新型コロナウイルス感染症の影響から経済活動の停滞に伴う所得の減少などにより、令和2年度と比較して、市税収入の大幅な減少が想定されることから、当初予算ベースにおける基幹税は対前年度比で、個人市民税4.7%の減、法人市民税15.8%の減、固定資産税1.2%の減、市税全体でおよそ3億5,000万円の減を見込んでおります。
また、歳出面では、新型コロナウイルス感染症対策にかかる経費の増や、幼児教育・保育の無償化をはじめとする保育関係経費、超高齢社会の進展に伴う医療・介護関係経費などの社会保障費が増加の一途をたどっていることなどから、多大な財政出動が必至であり、歳入歳出の乖離が増大する中、着実に積み立ててきた財政調整基金を、過去最高額となるおよそ21億9,000万円取り崩すことによって、対応したところであります。
このような非常に厳しい財政環境での予算編成にあたりましては、「従来の発想にとらわれることのない、まちの新たな魅力創出に取り組む将来を見据えた事業の展開を検討すること」「志木市新行政改革プランにおける『事務事業の見直し』に基づく廃止・縮小等の見直しに加え、業務の効率化及び行政課題への迅速な対応を図る視点から、委託化や、AI・RPAを活用した事業実施を検討すること」「鋭敏な感覚を持って国・県の補助金等を活用できるよう情報収集に努め、積極的に関係機関と折衝し、財源確保を働きかけることはもちろん、金額の多寡にかかわらず、税外収入等の新たな財源確保策について検討すること」「『新しい生活様式』に対応するため、既存事業においても新たなスタイルで市民サービスの提供ができるよう工夫を凝らした予算を計上すること」の4点を基本的な考え方とし、効果的な財源配分に努めたところであります。
この結果、令和3年度の予算案の規模は、
一般会計
307億7,700万円(対前年度比10.8%増)
特別会計
124億1,369万2千円(対前年度比2.9%増)
企業会計
58億3,904万3千円(対前年度比6.0%増)
合計
490億2,973万5千円(対前年度比8.1%増)
となりました。
一般会計については、総務費が対前年度比でおよそ22億3,700万円の増額となったことなどに伴い、予算総額は、対前年度比で29億9,600万円の増額となりました。
歳入面では、歳入の根幹を成す市税の予算額は対前年度比3.2%の減、総額でおよそ105億9,200万円を見込んでおります。
個人市民税は、納税義務者を200人程度の減、およそ39,400人と見込むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響による非常に厳しい経済状況を勘案し、対前年度比4.7%の減、50億4,633万5千円と見込んでおります。
法人市民税は、法人税割の税率引き下げによる影響を見込むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響による非常に厳しい企業経営状況を勘案し、対前年度比15.8%の減、3億3,299万6千円と見込んでおります。
固定資産税は、評価替えの年となりますが、新型コロナウイルス感染症の影響前の地価上昇に対応するため、令和3年度に限って、上昇分を令和2年度水準に据え置く一方で、下降した土地については、減を見込むとともに、家屋の経年減価による減も考慮し、対前年度比1.2%の減、41億4,660万円と見込んでおります。
普通交付税は、国の令和3年度地方財政対策において地方交付税総額が増加となっていることから、対前年度比16.7%の増、14億円と見込んでおります。
国庫支出金は、生活保護費負担金や障がい者自立支援給付費負担金等の増により、対前年度比3.8%の増、46億7,033万6千円と見込んでおります。
市債は、新庁舎建設工事にかかる市債やいろは親水公園施設再整備にかかる市債の増、臨時財政対策債の増により、対前年度比53.9%の増、59億2,620万円と見込んでおります。
繰入金は、財政調整基金からの繰入を対前年度比38.8%の増、21億9,072万円とするとともに、新庁舎の建設費用などの財源として、公共施設安心安全化基金からの繰入を対前年度比150.9%の増、12億4,740万3千円とし、全体として対前年度比65.2%の増、34億6,087万6千円と見込んでおります。
これによりまして、令和3年度当初予算取崩し後の財政調整基金残高は、およそ8億800万円と見込んでおります。
歳出面につきましては、「志木市将来ビジョン(第五次志木市総合振興計画)将来構想」で掲げたまちの将来像の実現を目指し、施策の大綱に沿って、令和3年度に推進する主な施策につきましてご説明申し上げます。
子育て家庭への支援につきましては、民間保育園における保育士の人材確保を図るため、対象となる保育士1人あたり年額最大585,000円を保育事業者に補助する「保育士宿舎借り上げ支援補助事業」を実施することで、利用定員の拡大とさらなる待機児童の解消につなげてまいります。
また、昨今、言語発達に影響を及ぼす子どもの難聴は、1,000人に1人から2人と比較的発生頻度が高いことから、早期に発見し、早期の治療や療育につなげるため、令和3年4月1日以降に生まれた子どもを対象に、新生児聴覚検査費を助成することで、しきっ子たちの健やかな成長を支援してまいります。
次に、学校教育の充実につきましては、民間のプール施設を活用した専門の指導員による水泳指導について、令和2年度から実施している志木第四小学校のほか、新たに、プールの老朽化が進行している宗岡小学校及び宗岡第二小学校を加えて実施することで、児童の運動機能の向上につなげてまいります。
また、児童・生徒一人ひとりのニーズに応じた教育を実現するため、GIGAスクール構想に基づき導入した1人1台のタブレット端末を活用し、習熟度に応じた問題や動画による解説など、複数の機能を搭載したオンライン学習教材による効果的な学習につなげるとともに、ICT支援員を配置し、主体的にICT機器を活用する学びの姿勢を育むことで、これからの時代を創り、生き抜く志木っ子を育成してまいります。
加えて、放課後における学習の場である、小学生を対象とした、放課後志木っ子タイムの学習プログラムや、中学生を対象としたサマースクール、中3チューターにおいても、タブレット端末を活用し、一人ひとりの習熟度に応じた学習支援を実施してまいります。
一方、教育環境の整備については、令和3年度から始まる「志木市学校施設長寿命化計画」に基づき、宗岡第二小学校における体育館の大規模改修工事に向けた設計に着手するとともに、宗岡小学校における体育館の大規模改修工事や、志木第三小学校における給食室の改修工事を実施するなど、安全な教育環境の整備を進めてまいります。
次に、高齢者施策につきましては、2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、超高齢社会がさらに進展することを踏まえ、令和3年度から始まる「志木市高齢者保健福祉計画・第8期志木市介護保険事業計画」において、地域密着型特別養護老人ホームや定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの地域密着型サービスの整備を位置付けることで、高齢者の状態に応じた多様な介護サービス提供体制の確保につなげてまいります。
一方、介護保険料については、介護給付費準備基金の活用に加え、現行の9段階から13段階への多段階化を実施することにより、介護保険料の上昇を抑制してまいります。
また、高齢者の皆様がいつまでも自分らしく、いきいきと暮らしていける取組として、令和2年度からスタートした「フレイル予防プロジェクト」では、市民フレイルサポーターをさらに養成し、測定機器や質問票を用いたフレイルチェックを実施するほか、全市民を対象とした予防啓発に関する講演会や、保健師、管理栄養士などの専門職による健康講話を実施することで、フレイル予防につながる介護予防事業を展開してまいります。
加えて、日常生活における負担の軽減と高齢者の見守りを図るため、家庭ごみを集積所まで持ち出すことが困難な65歳以上の要支援・要介護認定者や、1級・2級の身体障がい者手帳を所持している方などを対象に実施している「家庭ごみ戸別訪問収集事業」については、新たに85歳以上の方で構成されるごみ出しが困難な世帯を加えることで、高齢者の在宅生活のさらなる支援に取り組んでまいります。
健康施策につきましては、健康増進や生活習慣病予防の効果が期待できる「いろは健康ポイント事業」をさらに充実させてまいります。令和3年度は、働く世代が参加しやすい仕組みとして、新たに、スマートフォンアプリで参加できる環境整備を進めるとともに、参加者に対して、計測会や講座の案内など、健康づくりに関する情報を発信するためのメール配信機能を追加し、ICT環境を充実させることで、市民の皆様の自主的な健康づくりを応援してまいります。
また、食による健康づくりとして、減塩をキーワードに実施している「おいしく減塩!『減らソルト』プロジェクト」については、おいしい減塩料理を募集する「減らソルトレシピコンテスト」を開催し、工夫を凝らした優秀なレシピを市民公開講座で表彰するとともに、クックパッド
の「志木市のキッチン」などで広く紹介することにより、市民の皆様の1日あたりの食塩摂取量の減少につなげてまいります。
さらに、骨格の発達に重要な時期である小学校3年生の児童に対して実施している「足部機能・骨格発達支援事業」については、令和4年度の市内全小学校での実施に向けて、現在実施している2校のほか、新たに、宗岡第二小学校、志木第三小学校及び宗岡第三小学校を加え、子どもの頃からのセルフフットケアの理解と実践を進め、子どもたちの健全な身体の形成と体力向上につなげてまいります。
次に、コロナ禍における心のケアにつきましては、外出ができず、特に、閉じこもりがちになりやすい在宅子育て家庭を支援する育児サポート事業について、助産師やヘルパーなどによるサポート期間をこれまでの90日から1年まで延長するとともに、必要に応じて専門職による支援を行うことで、いわゆる「コロナうつ」の防止にもつなげてまいります。
また、市内全中学校の1、2年生を対象とした「いのちの支え合いを学ぶ授業」を実施し、コロナ禍で自由に行動ができない子どもたちに、生活上の困難やストレスに直面した際の解決方法を学んでもらうことで、自己肯定感を高め、自分を大切にする心を育む健やかな成長につなげてまいります。
併せて、コロナ禍により保護者のストレスが増加している状況などを踏まえ、子どもや子育て家庭の身近な相談窓口として、専門的な知識を有する職員が、育児、しつけ、教育など、さまざまな相談に対応する「子ども家庭総合支援拠点」を、令和4年度に子ども支援課内に設置するための準備を進め、支援が必要な子育て家庭の早期発見から虐待の未然防止、再発防止に至るまでの切れ目のない支援をさらに強化してまいります。
次に、福祉施策につきましては、令和3年度から始まる「第6期志木市障がい福祉計画・第2期志木市障がい児福祉計画」に基づき、令和2年10月に設置した障がい者基幹相談支援センターを軸として、障がいのある方の重度化や親亡き後を見据えるとともに、介護者となる家族の高齢化も視野に入れ、グループホームをはじめとする緊急時の受け入れ体制や、就労、通所など、さまざまな生活体験の場の拡充、さらには、福祉事業者間の連携を強化することにより、地域全体で障がい者を支える仕組みである「地域生活支援拠点」を整備してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、手話通訳者の同行が制限され、聴覚に障がいのある方が医療機関の受診を控えてしまう傾向にあることから、タブレット端末を用いた遠隔手話通訳を導入することで、安心して医療機関を受診できるよう、聴覚に障がいのある方の生活を支えてまいります。
さらに、障がいの有無や年齢、性別などに関わらず、多様な人が地域で共に支え合い、誰もが自分らしく、生きがいを持って活躍できる「共生社会」の実現を目指し、その基本理念となる本市独自の条例を、令和4年度の制定に向け、準備を進めてまいります。
加えて、コロナ禍の影響により、緊急的に食品が必要な方や貧困の状況にある方を支援するため、フードバンク埼玉などからいただいた食品を窓口でお渡しする「フードバンク事業」をより一層充実させ、子ども食堂や民間団体などと連携した食品の提供体制を整えるとともに、市民の皆様から食品の寄附を受け付ける「フードドライブ事業」を新たに実施し、食品の支援を通じて共に助け合うまちづくりを進めてまいります。
次に、生涯学習施策につきましては、いろは遊学館において実施している従来の来館型の講座に加え、オンライン講座を実施することで、コロナ禍においても、市民の皆様の生涯学習活動の機会の充実を図ってまいります。
次に、図書館サービスの充実につきましては、コロナ禍においても、安心して図書館を利用していただくことを目的に、インターネットや電話で予約した図書館の資料を自宅などで受け取ることができる宅配サービスを実施するほか、包括連携協定を締結している市内のコンビニエンスストアと連携し、店舗内のカウンターにおいて、図書館資料の返却を可能とすることで、図書館利用者の利便性の向上を図ってまいります。
産業振興につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、策定を見送っておりました「志木市中心市街地活性化基本計画」を策定してまいります。本計画では、志木駅東口からいろは親水公園まで続く本町通りの沿道及び周辺エリアにおいて、空き店舗対策をはじめとする中心市街地活性化の方向性を定め、魅力的なまちづくりを目指してまいります。策定に当たっては、コロナ禍による外出自粛に伴い、市民の消費行動が変化していることに加え、地域産業や事業者が、大きな影響を受けている状況を踏まえ、地権者や商店会をはじめとする関係者の皆様にもご参加をいただきながら、「新しい生活様式」に対応した、商業振興への取組を盛り込んだ計画とすることで、志木駅東口周辺をはじめとする商業地域の再活性化につなげてまいります。
また、「志木市中心市街地活性化基本計画」の策定にあわせて、魅力ある街並みの創出に向け、「志木市景観計画」を改定してまいります。改定に当たっては、屋外広告物の色や大きさなどのルールを見直すことに加え、今後竣工を控えている新庁舎とその目の前に広がるいろは親水公園や、一般国道254号和光富士見バイパスの整備によって、変化する街並みを見据えた計画とすることで、良好な景観の形成につなげてまいります。
次に、本市の地域資源を活用した観光施策につきましては、令和2年3月に国重要有形民俗文化財に指定された「志木の田子山(たごやま)富士塚」へのより一層の理解と愛着を深めていただくため、その周辺に位置する「道しるべ」「石燈籠(いしどうろう)」「鳥居台石(とりいだいいし)」「御手洗石(みたらいいし)」4種の「田子山(たごやま)富士塚関連石造物」の説明板を設置してまいります。併せて、後世に継承すべき貴重な文化財として、田子山(たごやま)富士保存会の皆様と共に、県内外の博物館や、本市と同様に富士塚のある自治体に対してパンフレットを配布することで、その魅力を発信してまいります。
次に、世界共通の目標である「SDGs(エス・ディー・ジーズ)(持続可能な開発目標)」の推進につきましては、令和3年度から始まる「志木市将来ビジョン(第五次志木市総合振興計画)後期実現計画」において、すべての具体的施策と17の目標との関連づけを施策横断的に行い、全市的にSDGs(エス・ディー・ジーズ)の達成に向け、取り組むこととしたところであります。このような中、令和3年度は、17の目標のうち「気候変動に具体的な対策を」や「つくる責任、つかう責任」をテーマとした環境講座を開催することで、市民の皆様のSDGs(エス・ディー・ジーズ)への理解促進を図ってまいります。加えて、未来を担う志木っ子たちへの環境教育として、中学校の社会科地域資料集にSDGs(エス・ディー・ジーズ)の内容を盛り込み、公民の授業で取り上げることで、生徒一人ひとりがSDGs(エス・ディー・ジーズ)について考え、行動するきっかけとしてまいります。
新庁舎建設事業につきましては、令和3年度は地震から建物を守る免震装置の取付工事や地上部分の工事を行うほか、新庁舎前面の広場となる人工地盤についても建設を進め、新庁舎と一体的な整備を図るいろは親水公園とともに、令和4年7月の竣工を目途に、本市の新たなランドマークを築いてまいります。
次に、一般国道254号和光富士見バイパスにつきましては、事業主体である埼玉県において、国道463号から県道さいたま東村山線までの区間について、令和4年度以降の供用を目指すとの方針が示されていることから、引き続き国や埼玉県に対し、道路財源の確保とバイパスの早期完成を要望するとともに、押しボタン式信号機の設置や渋滞対策、さらには、工事中における騒音対策など、市民の皆様の安全と良好な交通環境、住環境が確保されるよう埼玉県に働きかけてまいります。
また、令和3年度は、バイパスの東側に位置する消防団第5分団車庫の建設を実施することで、バイパスの開通後も、有事の際は、現場へ迅速に到着することができるよう、宗岡地区の消防団活動を強化してまいります。
次に、誰もが安心して歩きやすい歩道の整備につきましては、マロニエ通りを含む2路線の段差解消や、十分な幅員を確保することで歩道の快適化を推進するほか、身近な生活道路においても、道路が狭く雨水がたまりやすい市道の拡幅整備を実施してまいります。
また、市道の道路陥没などによる事故を未然に防止するため、舗装の長寿命化修繕計画に基づき、志木第三小学校前の市道や、秋ケ瀬スポーツセンター付近のあきはね通りなどの修繕工事を実施するとともに、宗岡第四小学校前のハーベストモールの交通安全対策工事を実施することで、安全な道路交通環境につなげてまいります。
さらに、市が管理する道路を常に良好な状態に保つため、民間事業者と連携した通報システムを導入し、道路の損傷や危険箇所などを発見した場合に情報提供を行うとともに、修繕や除去など、適切な対応を実施することで、道路パトロールや応急対応の強化を図ってまいります。
加えて、私道の修繕に対する補助金については、生活環境の改善を図るため、通り抜け私道のほか、新たに、行き止まり私道の一部を補助対象に追加してまいります。
併せて、生活道路における歩行者の安全を確保するため、自動車の最高速度を時速30km(キロメートル)に規制するゾーン30の区域として、新たに、館1丁目及び幸町地区においても埼玉県警察より指定を受けることから、路面標示を設置することで、安全な歩行環境につなげてまいります。
次に、空き家対策につきましては、令和3年度から始まる「第二期志木市空き家等対策計画」に基づき、空き家の管理や利活用などについて、「空き家等の利用等の相談に関する覚書」を締結している一般社団法人日本空家対策協議会の協力により、弁護士や土地家屋調査士など、各分野の専門家による相談を実施するとともに、市民、事業者、行政が一体となり、防犯や住環境の向上、さらには空き家等の利活用につながる取組を進めることで、地域の安全を確保してまいります。
次に、水害対策につきましては、大雨が発生した際の排水機能を確保するため、高橋中(たかばしなか)ポンプ場における排水ポンプの改修工事を実施するとともに、赤野毛(あかやけ)排水機場による内水排除を強化するため、排水ポンプの1基増設に向けた設計を実施してまいります。加えて、排水機場のリアルタイムな運転確認と遠隔での監視・操作を強化するため、排水機場遠方監視システムの更新工事を実施してまいります。
次に、防災意識の高揚を図るための取組につきましては、いつ起こるかわからない災害に備えるため、2か年計画で進めております「地区別防災ガイドブック」を本町地区、幸町地区、館地区、柏町3丁目、4丁目、5丁目の地区で作成することにより、市内全地区での作成が完了いたします。令和3年度は、防災講座を通して、河川の増水状況に応じた行動や避難方法を地域の中で共有していただくとともに、市民一人ひとりがあらかじめ避難に備えた行動を決めておく「マイタイムライン」の作成につなげてまいります。
また、避難所環境の向上を図るため、テント型の災害対策用プライベートルームを配備することで、避難所における着替えなどに要するプライバシーに配慮した空間を確保してまいります。
次に、水道事業につきましては、地震災害時においても、水道水を安定して供給することを目的に、大原浄水場の自家発電設備を更新し、電源喪失による送水機能停止の回避を図るとともに、水道施設管路の耐震化や浄水場施設・設備の更新を計画的に進めることで、より強靭な水道事業を運営してまいります。
次に、下水道事業につきましては、地震災害時に備えるため、館第一排水ポンプ場第4期耐震化工事を実施するとともに、緊急輸送道路や新河岸川の横断部などに埋設されている汚水管とマンホールの耐震化工事を実施してまいります。
また、下水道施設の老朽化に伴う事故を未然に防ぐため、「志木公共下水道更新・改築計画」を策定するとともに、近年増加傾向にある不明水の対策として、「雨天時浸入水対策計画」を策定し、雨水の浸入防止に向けた効果的な手法を検討することで、持続的な下水道機能を確保してまいります。
行政サービスの向上につきましては、AIをはじめとする新たなICTが目覚ましい進化を遂げており、スマート市役所やデジタル・トランスフォーメーションへの取組を進めるため、「ICT戦略ビジョン」を策定してまいります。策定に当たっては、新たなICTを活用し、「市役所に行かなくていい」仕組みづくりとして、マイナンバーカードを活用した「スマート申請システム」をはじめとするインターネット申請の充実に向けた取組を盛り込むことで、市民サービスの向上と事務手続きの効率化につなげてまいります。
また、マイナンバーカードの取得率の向上を図るため、現在の電話による受取予約に加え、新たに、パソコンやスマートフォンから受取予約ができるシステムを導入することで、マイナンバーカードのさらなる普及につなげてまいります。
加えて、これまで、それぞれの窓口で記入していた転入届出書や、転入に伴い手続きが発生する国民健康保険、介護保険などの申請書について、転出証明書に記載された氏名や住所などの情報をスキャンすることで、各種申請書への記入が不要になる窓口受付システムを導入し、「書かない」「待たない」窓口を実現してまいります。
次に、収納率向上を図る取組につきましては、引き続きファイナンシャルプランナーによる生活改善型納税相談や、自動音声電話催告、携帯電話ショートメッセージ催告システムの運用を着実に実施し、市税などの期限内納付を促進するとともに、法に基づく適正な滞納処分を執行し、収入未済額の圧縮を図ることで、収納率をさらに向上させ、埼玉県下10位内を目指してまいります。
次に、財政運営につきましては、少子高齢化に伴い社会保障経費が増大することに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により税収が減少する中にあっても、限られた財源を効果的・効率的に活用していくための新たな予算編成の手法として、各部局のマネジメントにより、事業のスクラップ&ビルドが期待できる「枠配分方式」を導入してまいります。
以上、市政運営の基本方針と重点施策を述べさせていただきました。依然として、終息を見通すことができない新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活は大きく変わりました。また、AIや電子マネーをはじめとする技術革新も、私たちの生活を変えつつあります。そして、将来を見据えた時、少子高齢化や人口減少など、本市を取り巻く環境も大きく変化していくであろうことに間違いありません。
これらの変化を的確に捉え、対応するためには、五感を研ぎ澄まし、今を見つめ、将来を考えることが大切な姿勢となってまいります。これまでも、コロナ禍において、プレミアム付き商品券の発行や、インフルエンザワクチン接種費用の全額助成など、市民生活や事業者を支える施策をタイムリーに展開してまいりました。また、「市役所に行かなくていい」仕組みづくりと銘打ち、「スマート申請システム」や「キャッシュレス決済」の導入など、目覚ましい進化を遂げているICTの技術革新にも迅速に対応してまいりました。加えて、将来を見据えた持続可能な財政運営のため、福祉センターと総合福祉センターの複合化や館保育園の民営化といった公共施設マネジメントを実施し、将来を見据えた視点で、行財政改革にも果敢に向き合い、結果を出してまいりました。
先行きを見通すことが難しい不安定な時代の中においても、持続可能な志木市を実現するためには、常に変化に迅速かつ的確に対応し、変革へとつなげていかなくてはなりません。新たな変革へとつながる市の決断には時に、ご批判やお叱りをいただくこともあろうかとは思いますが、説明責任を果たしつつ、将来を見据えた確かな選択をしていくことが私に課せられた使命であります。
この使命を胸に、確固たる信念のもと、これから先のさまざまな課題に対し、一つ一つ真摯に向き合い、しっかりと難局を乗り越えていくことで、市民の皆様の笑顔、そして胸を張って後世に引き継げる志木市の実現に向け、全力を尽くしていく所存であります。引き続き、議員各位、そして市民の皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。