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猫の怪
猫の怪
ある年の夏、長勝院(ちょうしょういん。志木第三小学校と市営墓地の間にあった寺院)の近くの農家で、庭先に干した手拭(てぬぐい)がひんぱんになくなり、人々は手拭泥棒(どろぼう)を探索(たんさく)したが、手がかりもないままに秋となった。
ある日の夜こと、館村のお百姓さんが水子村での用事を済ませての帰り道、長勝院の裏手の雑木林から賑やかなざわめきが聞こえるので、近づいて見るとたくさんの猫が集まって踊り跳ねており、どの猫もみんな手拭をかぶっていたという。
その翌日から「家々の手拭を盗んだのはみんな猫の仕業(しわざ)だとよう。」「猫は魔物だというけど、やっぱり本当だなあ。」というような噂(うわさ)が村中に広まった。(柏町3丁目付近の伝説)