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お地蔵さんとカッパ
お地蔵さんとカッパ
ある時、宝幢寺(ほうどうじ)のお地蔵さんは、風雨の中からかすかに聞えてくる馬の鳴声を頼りに柳瀬川のふちにに来てみると、一頭の馬が目前の流れにおびえたように四つ脚をふんばって鳴いていた。
お地蔵さんは、馬がてっきり泥にはまったものと思って近寄ると、葦(あし)の茂みに子どもの4・5才位のカッパがおり、馬を川に引き込もうとしていた。
お地蔵さまから厳しく諫(いさ)められた末に、改心することを約束してカッパは許されたのであるが、その後、宝幢寺の台所の流し台にはだれが届けるのか時々、川からとりたての鯉(こい)や鮒(ふな)が置いてあった。
寺の人達は不思議なことだと話していたが、そのうちだれいうともなく、改心したカッパがお礼に届けるのだというようになった。(柏町1丁目付近の伝説)