となり村から宗岡村に嫁(とつ)いで来たお嫁さんに、1年後に男の子が生まれ家族から祝福されたが、この赤ん坊の夜泣きには家中が閉口(へいこう)した。苦情に困りはてたお嫁さんは、赤ん坊を背負って家をぬけ出し、暗い野道で夜を明かす日が続き、睡眠不足から体をこわしてしまい、実家で養生(ようじょう)することになった。実家への帰り道、草むらの中にあった小さな祠(ほこら)が目にとまったので、「この子の夜泣きがどうか治りますように」と心からお願いして帰ったところ、不思議にもその晩から赤ん坊の夜泣きはピタリとやんだのである。おかげで熟睡(じゅくすい)もでき、すっかり健康を回復したお嫁さんは、嫁ぎ先へ戻る途中、白い米のだんごを買い求め、その祠にお供(そな)えして心からのお礼としたのである。その話を聞いた同じ悩みを持つ母親達が、この祠にお参りをするようになり、夜泣きに苦しむ家もなくなった。そしていつしかこの祠を、泣き虫稲荷と呼ぶようになったという。(中宗岡1丁目付近の伝説)

                                     泣き虫稲荷