宮戸村(みやどむら。現在、朝霞市)にきれいなお嫁さんが嫁いで来たと、噂(うわさ)に聞いた宝幢寺(ほうどうじ)のお地蔵さんは、ある日、お嫁さんを見に出かけた。家の中ではそのお嫁さんが、お歯黒をぬっていたので、いたずら好きのお地蔵さんは、家にあがりこんでお嫁さんをちょっとこづいて、からかってみた。びっくりしたお嫁さんは、とっさに握(にぎ)っていた房楊子(ふさようじ)で相手の手をはらったが、それが丁度お地蔵さんのほっぺに当たった。痛む頬(ほほ)を押えながら寺に逃げ帰ったお地蔵さんの右頬には、その時のお歯黒の墨のあとが残ってしまい、この日以来お地蔵さんは恥(はず)かしさのあまり、厨子(ずし)の中に閉(と)じこもって人々の前にお姿を見せなくなったという。(柏町1丁目付近の伝説)

ほっぺたの黒いお地蔵さん寶幢寺