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姥袋(うばぶくろ)
姥袋(うばぶくろ)
昔、柏城主(柏の城…志木第三小学校付近にあったといわれている)の大石信濃守(おおいししなののかみ)家来の小原佐門(おばらさもん)が、ある年の冬、難波田(なんばた。南畑)城へ出かけての帰り道、夜更けの高橋(たかばし)で20才位の美女に道を尋ねられた。
案内に立つ左門の後からついて来た女は、橋を渡り終ると左門の乗っている馬のしっぽをワシづかみにして引き上げた。
馬から落ちそうになり後を振り向くと、先程の美女は白髪を振り乱し、凄まじい形相(ぎょうそう)の鬼女(きじょ)に変わっていた。左門は馬から飛び降り、抜きうちに斬りつけたが、鬼女は橋の欄干(らんかん)に跳(と)び上がり、たやすくかわした。
ひるまず左門が鬼女の脚(あし)を薙(な)ぎ払ったので、鬼女は川面(かわも)に沈んだ。
若い女が老婆(ろうば)つまり「姥」になって現われたということから、この辺を「姥袋」と呼ぶようになった。(柏町2丁目付近の伝説)